2010年03月14日

アマチュア無線不要論? (4)

短波を聴取する人の立場としては、池田信夫氏の「アマチュア無線って必要なのか」は受け入れ難いものですが、実はPLCそのものには一定の期待をしていました。私が他の方式と比べて優れていると思うのは、設置が容易で既存のインフラの有効活用ができる部分です。

光ファイバーケーブルの敷設は、ずいぶん前から行われていましたが、どうやって家庭まで光ファイバーを持ち込むのかが、「ラストワンマイル」の問題として扱われてきました。この問題をPLCに担わせることが、以前より検討されてきました。

FTTHは家庭内のネットワーク機器の直前まで光ファイバーを引き込みますが、構造古い住宅だったり集合住宅だったりすると、なかなか光ファイバーを引き込むことが難しくなります。しかも、メタルケーブルを新たに引き回すことすら難しいケースもあり、これをどうやって克服するかが課題となっています。ここでPLCを使うことで既存のインフラをうまく活用できれば、情報のやりとりが楽になります。

しかし残念ながら、今の段階でも「ラストワンマイル」の問題をPLCで解決することができません。現在市販されているPLC機器は、ネットワークが屋内にある別の部屋をまたぐ場合の解決方法として使われています。つまり、目的としては無線LANなんかと競合してしまいます。これは、PLCの送出能力が低く押さえられているからですが、現状でも無線機器に影響を与えると指摘されている一方で、出力が弱いためにリンク切れのような、情報がうまく伝達できないことが起こっています。

市販のPLC機器は、発売当初は割と売れていたのですが、今となっては販売数は落ち着いてしまいました。PLCをより一層実用的にするためには、PLCの送出能力を上げる必要があるのですが、現状でも問題がある状態で、これを認めるのは理解を得られないかなと思っています。

コンピュータの業界で生きている私としては、うまい解決方法が提示されることを望んでいますが、少なくとも今の状態で送出能力を上げることは支持できません。とはいえ、何らかのうまい解決方法を望みたいところです。

少なくとも池田信夫氏が主張する「1,200MHz帯の解放」が、私はPLCの普及に役立つとは思っていません。シールドされている同軸ケーブルですら、1,200MHz帯の電波を通すと数十メートルも引き回せば減衰してしまうのに、電力線で通せばもっとロスが発生することでしょう。ただし、PLCを無線機器として扱うことにして、適切な周波数を割り当てるのは賛成です。

実は電波の有効利用を調整するために、ITU総務省は使用できる周波数帯の改訂を常に行っています。それはアマチュア無線も例外ではなく、たとえば日本のアマチュア無線で使える1,200MHz帯は、それまでは1,215MHzから1,300MHzまでの幅でしたが、1987年5月1日からは1,260MHzから1,300MHzまでに削減されています。アマチュア無線で使える周波数が直近で削除されたのは、2006年12月31日に75GHz帯(75.5GHz〜76GHz)がありますし、常に使用できる周波数の改訂は行われています。つまり、アマチュア無線家の間でも混乱はあるでしょうが、周波数削減が悪だとは思っていないということです。

単にアマチュア無線が無駄であると切って捨てて、いろいろな問題のあるPLCをゴリ押しするのではなく、それぞれがうまくやっていける合意点が見つかればと思っています。しかし、今回まで4回に渡り池田信夫氏に丁寧に反論してきましたが、これらのことは1時間も調べればわかることです。裏をとる時間を含めれば、もう少し時間がかかるでしょうが、少なくとも「アマチュア無線って必要なのか」といった論理展開でPLCを推進する文章は書かなかったでしょう。私も知らないことは多いですし、「知らないことは書くな」とは言いませんが、できれば事前に取材するなどして確度を高めて欲しいと願わずにはいられません。
posted by 「なにかな」管理人 at 21:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ラジオ・無線
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