
広告収益が減ったために、もはや風前の灯火と噂されるラジオ業界。ラジオをこよなく愛す私も、聴取者の立場として他人事ではありませんが、東京・大阪の民放ラジオ局がこの春、攻撃に転ずることになりました。「IPサイマルラジオ」が試験スタートしたのです。
radiko.jp(ラジコ)と命名された、在京・在阪民放ラジオ局のインターネット再配信が、3月14日夜から試験スタートし、当日は非常につながりにくい状態となりましたが、どうやら現在は落ち着いているようです。正直なところ、ブラウザが表示できなくなるほどアクセスが集中するとは思っていませんでしたし、関連のソフトウェアが開発されているとのことですので、radiko.jpに対する関心の高さを見せつけられた感じです。
もともと技術的には、ラジオとインターネットは親和性が高いといわれていたのですが、権利関係などの構造的な問題で、今まで積極的な動きはありませんでした。ラジオは(テレビもそうですが)ざっくりいうと、想定されている地域外へ電波が飛んでいくことを極端に嫌います。それは、地域外へのサービスを行わせたくない総務省と、地域単位で広告を出したい広告主の思惑があったりするのですが、"たまたま"地域外へ飛んでしまう放送電波は仕方ないにしても、積極的に地域外へ飛ばすようなことはしていません。
これがインターネットの世界へ持って行くと、地域という概念がなくなってしまうため、従来の人たちの都合が悪くなってしまいます。技術的には、日本のラジオが地球の裏側でも聴けるわけですから、地域単位で違う広告を出している企業は困るわけです。これを解決するためにradiko.jpでは、在京民放ラジオ局分は東京・神奈川・千葉・埼玉地域からインターネット接続している端末しか聴取できないようにし、在阪民放ラジオ局分は、大阪・京都・兵庫・奈良からインターネット接続している端末しか聴取できないようにしています。
地域判定はIPアドレスから判定をする方式ですが、プロバイダによって誤って地域を判定することもあります。私は決して関東・関西に在住しているわけではありませんが、自宅のインターネット回線では、在阪民放ラジオ局版のradiko.jpのサービスが受けられ、芋菱からの接続では、在京民放ラジオ局版のradiko.jpのサービスが受けられます。

冒頭の画像は在京版のradiko.jpですが、こちらは在阪版のradiko.jpです。音質は、遠距離受信することを考えれば非常に満足できるレベルですが、限られた帯域で最高の音質を確保するノウハウの蓄積がある分だけ、AM局のほうが音質がよいと感じます。