以前のエントリーで書きましたとおり、名古屋にある外国人向け放送局「RADIO-i」が、9月30日24時をもって閉局しました。無線局免許状情報を見る限りは、有効期限まで3年以上ありますが、報道によると返納するということでしたので、既に放送免許は取り消されていると思います。
最終日の24時になる直前、「JOGW-FM、こちらはRADIO-i、愛知国際放送です。これをもちまして、当局の放送をすべて終了させていただきます。長らくのご声援ありがとうございました。」のアナウンスがあり、24時02分に電波が途切れました。これで、愛知県(静岡県西部も含みますか)から外国人向け放送局の火が消えたことになります。
RADIO-iに限らず、放送局はどこも経営が厳しい状態というのをよく耳にします。それぞれに理由はあると思うのですが、RADIO-iには「外国人向け放送局」としての使命を全うできない環境が、閉局に向かわせたのだと思います。
今更ながら、RADIO-iの開局前のプロモーション音声を聞いてみたりしたのですが、その当時は5年後に愛知万博を控えていた時代でもあり、「国際化」がスローガンになっていましたので、放送プログラムは外国語の割合が多いようなイメージがありました。
ところが実際には、洋楽を中心とした選曲と、日本語と英語を基軸としたトークが大半でしたから、たとえば名古屋のZIP-FMとの差別化が訴求できなかったりといった誤算はあったと思います。完全に外国語での放送にしても良かったのかもしれませんが、やはり外国人向けの商業活動が育っていないのでしょう。広告収入が見込めなくなる恐れもありましたから、仕方ないといえば仕方なかったのかもしれません。
最終日の放送中に「いつか復活を」という言葉もありましたが、ドライに考える限りは、当分の間は復活はあり得ないでしょう。閉局というのは、当分は存在価値を見いだせないと判断した結果でしょうし、免許を振り出す総務省にしても、放送局がそう簡単につぶれてもらっても困るわけですから、次の審査はもっと厳しくなることでしょう。放送局がなくなるというのは、それほど重い意味があるということです。
もっとショックなのは、免許事業ですら倒産の可能性が否定できない世の中ということです。放送局は誰もが作ることができるわけではなく、手を挙げた業者の間で調整を何年も行って、やっと開局にこぎ着けるわけです。逆に言えば、それだけ新規参入が制限されているわけで、放送局間で競争になりにくいわけですし、価格競争も起こりにくいわけです。儲かるタネとしては上質ですが、それすらも過去の話ということでしょう。
普通は、放送局をつぶすという選択肢はとらないところ、あえてその選択をしたRADIO-iの経営陣は凄いと思いますが、いちリスナーとして見守ってきた身としては、楽しい空間を提供してくれる放送局を失うのは、とても残念です。
2010年10月02日
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