
2009年のハムフェアでの参考出品で話題を呼んだアイコムのアマチュア無線機IC-9100ですが、「ようやく発売にこぎ着けました」とのことで、2010年12月11日に名古屋で試聴会が開催されましたので、そちらに参加してきました。
発売になったとはいえ、IC-9100の供給が充分とはいえず、いろいろ憶測を呼んでいるために謎の多い無線機ですし、真意を確かめたい部分もありましたので、メーカーの人たちの話が聞けるこのタイミングで参加したというわけです。
当日は早い時間帯から、多くのアマチュア無線家が会場に集まっておりました。この日の出し物はふたつ。ひとつはIC-9100で、もうひとつはD-STARです。
D-STARは、電波形式が新しいことはすぐに理解できるのですが、そもそもデジタル化するとどんなメリットがあるのかを理解するのが独力では難しいと感じていました。しかし少なくとも、アイコムとしてもD-STARに継続的に力を注いでいて、興味を持てるような感じになっていたと思います。

さてお待ちかねのIC-9100ですが、操作パネルのある前面の小ささと、それと対照的に奥行きの長さが印象的でした。1200MHz帯とD-STARを除けば、同じ周波数帯を楽しむことができる無線機でもっと安いものは多く発売されているのですが、高級感というよりは、筐体そのものの作り込みやシールドの仕方など、エントリーモデルとは違う印象を醸し出しており、「この内容でこの金額は仕方ないか」と思わせるような印象がありました。
もっとも目を引く部分は前面の液晶パネルですが、大きさの割に白黒表示なために、シンプルな印象があります。メーカーの話では「コストを考えると・・・」とのことですが、カラー表示でハイエンド機が既に発売されていますので、差別化という意味でも妥当なところかも知れません。
全体としては、HF/50MHz帯はIC-7600と同等レベル、VHF/UHF帯はIC-911Dを超える性能を搭載し、設計を最初から見直しているとのことなので、期待値は高まります。ただし、設置場所のアンテナが満足いく性能を発揮しておらず、本当にそのレベルかを確認するまでには至りませんでした。

今回展示していたもので、もうひとつ目を引いていたのは、IPリモートコントロールソフトのRS-BA1でした。IC-9100をはじめ、主な固定無線機のコントロールをパソコンで行うことができるのですが、基本的に無線機をパソコンのデバイスのひとつとして認識させて運用するスタイルなので、無線の知識のほかに、インターネットやネットワーク、コンピュータの知識が必要なために、少々ハードルが高いかもしれません。
RS-BA1で無線機をコントロールするには、最低でも送り側と受け側の2ヶ所にパソコンが必要なため、思った以上に大がかりな設備になってしまうのが、少々残念な気もします。設定をどう容易にするか、パソコンでの操作性をどう向上させるか、もう少しブラッシュアップが必要な印象を受けました。