2010年12月26日

モールス試験見直し案と空中線電力

2010年11月22日から1ヶ月間、総務省がアマチュア無線のモールス実技試験の変更について、意見を募集していました。現在は、第三級が法規の中でモールス符号の理解度を確認し、第二級と第一級ではモールスの実技試験を行っています。今回はその実技試験を廃止して、第三級と同じような方式に変更することを検討しているようです。

既に意見募集は終了していますが、この件は他でも話題になっていて、ブログなどを確認すると、おおかた反対の意見が大勢を占めているようです。ただし基本的に総務省は、意見は聞くけど方向性は変えないことが多いので、これも数年後には実行に移されるのではないかと思います。

日本以外の流れとしては、既にアメリカはモールスの実技試験を廃止しており、他も多かれ少なかれ似たような感じだと聞いています。2003年7月に行われた世界無線通信会議(WRC2003)で、モールスの試験をするかどうかは、各国で勝手に決めても良いと「無線通信規則」を改正しましたが、これを反映した流れかと思います。

そんなわけで、全体の流れとしてもモールスの廃れる方向は、止まりそうにありません。モールスの利点は、さんざん皆さんが出されているので、モールスを否定するわけではありませんが、個人的にはモールス廃止は歓迎したいかなと思っていました。

そうなると日本のアマチュア無線の制度で、資格ごとで運用範囲が違うことが曖昧になってくるような気がします。モールスの実技廃止で、無線工学のレベルと法規の一部が変わるぐらいしか差がなさそうです。一部のアマチュア無線家は、第二級や第一級への挑戦を行うと思いますので、それに関わる無線機の更新などの経済的な効果はあるかもしれません。

日本のアマチュア無線の制度は、資格別に許される空中線電力が違います。第四級が20W(HF帯は10W)、第三級が50Wの空中線電力なのに対し、第二級は200W、第一級は無制限(一般的には1kW)と、非常に強力な空中線電力を使うことができるようになります。特にHF帯は非常に混み合っており、パワーが強い局が有利になる傾向にあることから、一層高出力化が進むことになるかもしれません。

ここで、ひとつ私が気になる話を出しておきます。430MHz帯での話ですが、10km程度離れた地点で、こちらは10Wの空中線電力で送信し、相手は20Wの空中線電力で送信している環境で交信していたのですが、どうも相手の信号強度が強くないのです。すると相手は、50Wで送信できる144MHz帯への周波数変更を提案されたのですが、こういう空中線電力を中心に組み立てる考えが、今後増えてくるかもと思っています。

通常10km程度の距離なら、それほどパワーが必要になるケースは多くありません。小電力で済むケースでは、1W程度でも交信が成立することも珍しくありません。信号強度が弱いのは、お互いの地形的な環境のほかに、双方のアンテナの性能による部分が大きいというのが、今までのおおかたの回答となります。

ですが、これを空中線電力で解決する人が、今後増えてくるかもしれません。今回のモールス実技廃止の方向は、結果的にはこれを加速することになるかもしれません。私は「できるだけ効率的に」というのが従来の考え方のような気がしますが、無駄に空中線電力に頼る傾向は、効率という部分においては賛成できないです。一旦はモールス実技廃止を歓迎したのですが、今はちょっと迷う感じになりました。
posted by 「なにかな」管理人 at 22:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ラジオ・無線
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