2011年04月03日

ラジオの持つ底力

まずは、この度の東日本大震災により被害を受けられました皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。既に震災から3週間が経過しておりますが、報道などを通じて知らされる情報に心を痛めているところです。

私が住む愛知県は今回の震災の中心からは離れておりますが、震災後に私は関東や新潟へ出張しており、余震や計画停電が現在進行中で続いていることを目の当たりにすると、明日にも来るといわれる東海地震の備えについて、考えずにはいられなくなります。

震災後に時系列で何が必要になるかは、今後まとめられていくと思いますが、そんな中で「これでいいのか」という自問自答が自分の中で続いています。

以前に、東海豪雨から通勤の装備を考えたエントリーをしました。手回しラジオは天災のタイミングに限らず度々活躍していて、震災の前日(3月10日)夜に仕事上事務所に泊まらなければならなかった時も、このラジオを情報収集のツールとして使ってきました。

ラジオというのは、送信側も受信側も設備がそれほど複雑にならずにすみ、特に受信側は大きな電力を必要としないことから、災害に強いといわれてきました。ただ今回の震災に限っていえば、地元のラジオ局である東北放送ラジオが、津波とその後の電力不足で満足いく情報提供ができなかったりなど、想定外とはいえ情報収集方法を考える機会になりました。

とはいえラジオ放送を受信する代替の方法として、radiko.jpで地域制限を解除してサイマル配信を行っておりますが、複数の技術を積み重ねなければ実現せず、電波を使って送り込める方法と比べて、どうしても脆弱性が高まります。実際、震災後に携帯電話が使えなくなった人たちが、情報を得るのに困難を極めた話もあるそうです。

災害時のラジオに対する期待の高さは大きく、震災前には3,000円もしなかったER-21Tが、現在Amazonで購入すると4,800円するなど、一部で価格高騰が確認されています。

このブログでは短波が受信できる中華ラジオを扱ってきたこともあって、常々ラジオの持つ底力を感じてきました。底力の話は、PLCを扱ったエントリーでも書いてきました。しかし、今回のようにラジオ送信所に問題が発生した場合のために、短波放送を見直してもいいのではないかと感じています。

既にNHKでは海外向けに短波放送を実施しておりますが、設備及び周波数の選定は、海外へ情報を届けることを前提としているため、国内ではかえって聴取が困難です。平常時は国内向けは中波でまかなえますが、今回のように地元のラジオ送信設備が使えなくなった場合のことも考えて、短波放送の充実も念頭に置いても罰は当たらないような気がします。
posted by 「なにかな」管理人 at 21:45| Comment(6) | TrackBack(0) | ひとりごと
この記事へのコメント
海外に行った時、海外向けNHKラジオがこころ強く思ったものです。
現状はラジオ日経が国内の短波放送を独占しているのですが、国内のニュース専門でNHKがあっても良いと思います。
Posted by 桃太郎@東大阪 at 2011年04月06日 08:04
コメントありがとうございます。

通信衛星が飛び交う時代に、ラジオの良さを忘れがちですが、今回のように災害発生時は、かえってローテクの技術を使うほうが都合が良いこともありますから、関係者のかたへぜひご一考いただきたいです。
Posted by 「なにかな」管理人 at 2011年04月07日 00:26
お久しぶりです。
震災で大変な事態になってしまいましたね。
当地でも津波が押し寄せて来て、避難しましたが幸い、ケガ人など出ないで済みました。
避難時の情報の入手という問題は大きいです。こちらでは、地元にTV、AM、FM放送局が無く、役場の防災無線のみという、何とも危なっかしい状態でした。
疑問に思われますが、当地ではAM、FMの中継局は無く、TVが光ケーブルで配信されているのみです。
避難所となっている体育館などにはTVなど置いておらず、役場からの防災無線だけが頼りで、その役場ですら沿岸沿いですので津波の被害を受けたら機能しないし、今回の震災で防災無線自体が津波の被害を受けたら機能しない事が解りました。
私は、去年のチリ地震津波、近海の地震での津波、そして今回の津波とも避難の際に、ラジオを持って逃げました。情報収集のツールとしては必要だと実感しました。
ただ、問題も有りまして、当地だと昼間は中波は全くといって聞こえず、短波でないと駄目だという事と、NHKの海外向けを聴くしかないのですが、日本語で放送されていない時間があるという事。ラジオNIKKEIも聞こえますが、NHKほどアテになりません。
やはり、NHKの全国向け短波放送は必要だと思います。
昔は、NHKの短波中継もやっていたんですがね。
NHKさん、地デジも良いけど、短波中継も復活させてくれませんかね?
Posted by BCL@小笠原 at 2011年04月09日 20:34
BCL@小笠原さま
コメントありがとうございます。無事で何よりでした。毎日のように余震が続いていますが、お気をつけください。

以前はNHKも、中継用だったかの用途で短波での送信がありましたが、今はなくなっているみたいです。維持費のかかることなので、なかなか難しいのかもしれませんが、何かいい手がないかなあと思っています。
Posted by 「なにかな」管理人 at 2011年04月11日 22:33
60年間行われてきたNHK短波中継は2005年5月に中止されたようですね。
札幌・東京・名古屋・大阪・福岡からそれぞれ3波ずつ出ていました。
0.3〜0.9kWという低出力、なおかつSSB送信のものまでありました。
Posted by もーちゃん at 2011年04月18日 20:31
コメントありがとうございます。

私の記憶では、名古屋の3970kHzはSSBでした。中波で聞けるものが短波のSSBで聞けるというのは、ちょっと驚きでもありました。

最近、短波はあまり重要視されない感じもしますが、いろいろ活用方法を検討して欲しいと思ったりもしています。
Posted by 「なにかな」管理人 at 2011年04月19日 00:10
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