ブログなどで表明している意見などを集めてみても、かなり反対派が多いみたいです。実際、上級アマチュア無線の試験で合格率が低いのは、モールス実技試験が障壁になっているのは明らかでしょうし、それを突破してきた人からすれば、後からルールが変わるのは我慢ならないでしょう。
実際の通信では、プロの世界ではモールス通信を行うケースは非常に少なくなり、遠洋漁業向けの通信や陸上自衛隊に一部残っているのみだそうです。趣味の世界であるアマチュア無線でも、コンテストやアワードなどを通じて、モールス通信を活性化しようとする動きがあります。
私はまだ電鍵を持っていないヘタレなので、モールス通信をしている人の話を聞いているのみですが、モールス通信の利点は「小電力で交信が成立しやすい」という部分が最も大きいようです。また、定型文のみでの交信(ラバースタンプQSO)が成立しやすいことから、一度モールス符号を覚えてしまえば、その先にある交信のハードルが低いという利点もあるでしょう。
このような利点があるのに、試験からモールス実技試験を省いただけで廃れてしまうのであれば、元々廃れる運命だったともいえるわけで、モールス通信啓蒙と実技試験廃止は、あまり関連性がないような気もします。
以前私が書きました「大電力局が増える」というのも、代表的なコメントの中に書かれておりました。それについての「総務省の考え方」には、以下のように書かれておりました。
モラル、マナーの低下に関してのご懸念があることは理解できますが、モラル、マナーについては、アマチュア局を運用する無線従事者により判断されるものであり、アマチュア局は周波数共用による無線局の運用が前提である以上、モラルやマナーを守った運用を求めていく必要があると考えます。
よくわからない文章ですが、「アマチュア無線の世界での話なのだから、モラル向上を資格試験に頼らず、自分たちで何とかすべき」という風に私は理解しました。たしかにその通りです。私の場合は、3アマを取得した直後はかえって5W以下の運用が増えましたが、そういう風に資格取得が「適切な空中線電力」を考えるいい機会になるといいな、と思っています。
上級試験は無線工学や法規についても、問われるスキルに差が設けてありますので、モールス実技試験を廃止しても、資格の統合はあまり必要ないと思います。総務省は世界の流れに同調するように、2011年10月よりモールス実技試験を廃止へ持って行きます。一時的には上級者が増えると思いますが、私はあまり大きく混乱はしないと思っています。