2006年07月02日

「FM DANVO」と「まちの放送室」

少し前にこの場で、コミュニティFMのお話を書いたことがあります。何となく、放送を行うハードウェア(箱モノ)はあるのに、そこに乗せるコンテンツがかなり少ないってのを心配した内容だったのですが、いまこの瞬間も、箱の部分の再編が進んでいるようです。

愛知県内で中でも象徴的なのは、中区のコミュニティFMであるDANVOでしょうか。華々しくデビューを飾り、地下鉄の中吊り広告などに開局をアピールしたのをよく覚えていますが、次第にコンテンツの量や質が伴わなくなり、周囲でも聞いている人が少なくなっていく状況は、私も心を痛めておりました。そしてついに、7月1日から舵を大きく切り直し、「トランスアメリカインターナショナル」として再出発しました。

あくまでも自社から作られたコンテンツに拘ったほうがいいのか、それとも他社からのコンテンツを受けてでも時間を埋めたほうがいいのか、送り手側も悩むところであると思いますし、受け手側もそれで嬉しいかどうかは悩むところではあります。ただDANVOの場合は、運営していく上で他の要因からの影響が強かったのかなぁと思う部分もありますから、かつてのDANVOの方向性は必ずしも悪いとは思いませんし、現状の試みも非常に面白いと思っています。

そんな厳しいコミュニティFM局の業界ですが、近くに新たなコミュニティFM局が産声を上げようとしています。愛知県犬山市周辺をエリアにする愛知北エフエム放送・まちの放送室ですが、7月7日朝から本放送を開始します。現在は試験放送を行っておりますが、車で30分以内で行けるFM局でもありますから、7月1日の七夕会を見学に行ってきました。

JOZZ6AV-FM.jpg

周囲の町並みにとけ込んだような、既存の家屋をリフォームしたスタジオからお送りしておりましたが、他の放送局と大きく違うのは、前をウロウロしている人ですら巻き込もうとしているスタンスでしょうか。写真をみてわかるとおり、スタジオと外を隔てるのは、サッシ扉1枚きりです。玄関は他に用意されておりますが、サッシ扉から前を通る人を引き入れることも可能ですから、その放送局らしからぬスタンスは、ちょっと意外な感じもしました。

最近のコミュニティFMの形態は、どちらかといえば、そこで生活している人との間に障壁が見て取れることが多いのですが、まちの放送室は、出来るだけ犬山市民と共に歩みたいというイメージで、その手段のひとつとしてコミュニティFMをツールのひとつとして使おうとしています。よって、番組は全て自社での制作、ほとんどがボランティアスタッフに支えられますが、スタッフを育てていく手段も考えられています。

ただ、まちの放送室も株式会社。第3セクターではありませんから、出資者を募るのも苦労した話もあるそうですが、観光都市の再生と活性化にどこまで貢献するのかが未知数で、久しぶりに非常にワクワクするコミュニティFMではあります。私は、こういうコミュニティFM局の存在を大事にしたいと思いますし、場所が近いこともありますので、陰ながら応援したいと思っています。
posted by 「なにかな」管理人 at 20:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ラジオ・無線
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